【アンチエイジング, 歯科】
食いしばり、歯ぎしり、噛み締め癖は今すぐに対策!
食いしばりや歯を噛み締める癖が習慣になってしまっている方も多いのではないでしょうか?
歯を噛み締めたり、寝ている間に食いしばる力は、想像以上に強いものです。その力は、自分の体重の10倍〜15倍くらいはかかっていると言われています。 それもそのはず、歯科用のドリルでないと削れないくらいの硬さの「歯」が食いしばり、歯ぎしりで欠けたり割れたり、擦れて平らになるくらいですから、毎日歯にかかる負担が尋常じゃないと言うことですよね。
まず、食いしばりや噛み締め行為で起こるトラブルや症状は多岐にわたります。
たとえば
✔︎歯が欠ける、歯の根が割れて抜いたことがある。
✔︎詰め物が欠ける、すぐ取れてしまう。
✔︎咬筋が張っている。(昔よりエラが張ってきた)顎周りの筋肉が硬直している。
✔︎歯列の内側や外側に骨隆起がある(骨が出っぱっている)
✔︎朝起きた時の顎の疲労感がある
✔︎偏頭痛や肩こりがある
✔︎知覚過敏が時々起こる。虫歯じゃないのに歯が痛くなることがある
✔︎きちんと歯磨きをしているのに奥歯の歯周病が進んでいる
このような症状やトラブルがある方は要注意。食いしばりや歯ぎしり、噛み締めが原因になっているかもしれません。今のところ、歯に何も症状や大きなトラブルが起きていなくても、歯ぎしり、食いしばり、噛み締めの癖がある方はすぐに対策を始めましょう☝️
歯ぎしり、食いしばり、噛み締め癖の改善には、治療+セルフケアが有効です。
すぐに改善したいなら、この治療方法が効果的!
1、マウスピース療法
こちらは最も簡易的に、すぐにできる治療方法です。歯型をとって自分に合ったマウスピースを寝るときにはめるだけです。厚みも数種類ありますし、奥歯部分にレジンを持ってフラットにするプレートタイプもできます。噛み合わせや状況に応じて最適な方をご提案しています。これをつけるだけでも、頭痛や肩こりがなくなった、顎の疲労感がなくなった、などかなり症状が改善されますし、歯も守れます。審美治療やインプラント、被せ物の治療後の長期的安定にも必須なので、当院では、歯ぎしりや食いしばりがある方には必ず作成しています。
2、マイオモニター(電気刺激低周波治療器)
顎の部分にパットを貼り付けて電気を流します。咬筋の機械的なマッサージと捉えてください。当院では、顎が開きにくい、顎がカクカク鳴る、口を開けると顎が曲がる、などの顎関節症状のある方に行っているのですが、定期的に行うと顎が開きやすく、軽くなるのでとても楽になります。こちらは、マウスピース療法を併用して行うことをおすすめしています。対症療法ではありますが、顎のカクカクが気になる方や時々痛みが出る、顎が開きにくい方には非常に好評の治療法です。咬筋だけでなく、側頭筋や頬周辺の表情筋にも効いてくるのでお顔のたるみにも効果があります。

咬筋部分に2箇所のパッドを貼り電極をつけます。20分くらいの機械的マッサージはちょっとピリピリ?初めは違和感がありますが、すぐに慣れてきます。
3、ボトックス注射
食いしばり、噛み締めや歯ぎしりに対しての即効治療はボトックス注射です。ボトックスを咬筋に打つ事で、過度な力が弱まり6か月くらいはその効力が続きます。顎(エラ)が張っていたり咬筋が硬直している方、過度な咬合力のため歯が欠けたり根が割れてしまったりする方にはこの治療は有効です。
嬉しい副効果としては、小顔になること。エラ張りが改善され、顎周り、フェイスラインがスッキリするのでかなりの小顔効果が得られます。
また、マウスピース療法だけでは効果が弱い場合や、マウスピース自体を装着できない方にもおすすめしています。
食いしばりや噛み締め癖が日中もある方は、歯だけでなく身体的にも負担が大きく、ご本人も非常に辛いもの。ですから、咬合力自体を弱めて食いしばれないようにすることで楽になりますし、歯と歯周組織のトラブルも回避できます。
デメリットは、しばらくは固いものを食べると顎が疲れる、人によっては顎周りのたるみが気になることです。また咬合力を弱めることで運動能力が落ちるのではないかという懸念点もあります。
筋力やお肌のハリが衰えてくる年齢の場合、確かに筋肉を弱めることで顎周りのたるみや運動時の能力が低下することも考えられますが、実際臨床で経過を見ている限り、ボトックスを行った後の顎周りのたるみや運動能力の低下はそこまで心配しなくても良いのかなと思いますが、気になる方は、たるみのケアも同時に行うと良いかもしれません。
あくまでも、歯科で行うボトックス注射の目的は「歯と歯周組織へのダメージとトラブルを防ぐこと、今ある症状の改善」なので、そこを優先に考えると有効な治療法と言えます。
ボトックス注入症例写真
ボトックス治療前に刺入点にマーキングします。2箇所に注入します。

白いマーキング部分がボトックス注射の刺入点。痛みを極力感じないよう事前に十分に冷やします。
今すぐできる!食いしばり、噛み締め癖のセルフケア方法
1、舌トレーニング
これは、噛み締め癖や食いしばりのある方に限らず、歯の接触癖がある方にも声を大にしてお伝えしたいトレーニングです。矯正中や矯正後の歯列の後戻り防止にもなりますので、ぜひ行ってください。
☆舌先を少し丸めて上顎の前歯の裏に置いて舌全体を口蓋にくっつける。→強くプッシュして10秒キープ。離す。また10秒キープ。を何回か繰り返す。
を行うことで、いつもお口の中に(上の歯と下の歯の間に)空間が作れます。歯が触れ合っていい時間は1日に20分以下と言われており、それ以上に歯同士がくっついているということであれば接触癖が疑われます。食べるとき以外は上下の歯は触れないことが理想的です。
瞬発的に力がかかる運動時や、家事や仕事に集中している時、うつむく姿勢が続くときなどは歯をギュッと噛み締めやすいもの。たとえば、私の場合は診療中やヨガの時ですが、、そんな時は、舌で上顎の口蓋部分をギュッと押して歯をくっつけないように意識しましょう。歯を噛み締めている時と同じような安定感と集中力が感じられるはずです。
また、トレーニングしていると、「舌の位置はここにあるべき」と無意識に舌の理想的なポジションを習慣づけることができるようになります。
舌の正しい位置を身につけるだけで、
○噛み締めや食いしばり防止
○唾液分泌の向上
○顎周りの筋肉が張るのを防げる
○噛み合わせのずれを防げる
○矯正後の後戻りの防止
といいことばかり! ぜひ今日から行ってみてください。
2、咀嚼筋マッサージ
お風呂に入った時や、あ、食いしばってしまった、、と思った時に顎周りの筋肉をマッサージして硬直した筋肉をほぐしましょう。人差し指〜薬指の3本または親指以外の4本を使ってらせんを描くようにくるくるとマッサージ。ゴリゴリした感じがほぐれるように行ってみてください。こちらも毎日続けると顎が開きやすくなり、エラが張るのも防げます。
噛み締めや歯ぎしりで過度な力が加わる方には、こういった治療法を行なったり、自分でできる予防策をとる事で、様々な歯のトラブルを避けられる可能性が高くなります。
現在のご自身の歯、また、治療後の歯を出来るだけ良い状態で安定させるためにも、咬合力のコントロールはとても大事なのです。
歯ぎしりや食いしばり、噛み締め癖は何かにつけ歯のトラブルの原因になり得ます。辛い症状でお困りの方もご相談ください。