【矯正歯科】
前歯のすきっ歯は治せる?原因と短期間で治す5つの方法【歯科医が詳しく解説】
Last Updated on 2025年12月7日 by 小川朗子

前歯のすき間が気になる、笑うと歯の隙間が目立つ――。
このような「すきっ歯(空隙歯列)」は、見た目の印象だけでなく、発音・噛み合わせ・口腔内の健康にも影響を与える歯並びの一つです。
「見た目だけの問題」と放置してしまうと、将来的に歯周病や顎関節への負担、全身バランスの乱れにつながることもあります。
この記事では、すきっ歯の原因と治し方5つを歯科医の視点からわかりやすく解説します。
短期間で改善できる審美治療から、根本的な矯正治療まで、あなたに合った方法を一緒に探していきましょう。
目次
すきっ歯(空隙歯列)とは?

すきっ歯とは、歯と歯の間にすき間ができている状態を指します。
特に前歯のすき間は笑ったときに目立ちやすく、コンプレックスを感じやすい部分です。
医学的には「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれ、
- 歯の大きさ
- あごの幅
- 舌の癖
- 噛み合わせ
など、複数の要因が関係して起こります。
すきっ歯が見た目と機能に与える影響
- 発音が不明瞭になりやすい(特にサ行・タ行)
- 食べ物が詰まりやすく、虫歯・歯周病のリスクが上がる
- 噛み合わせのバランスが崩れ、顎や首・肩こりの負担につながることもある
見た目の問題だけでなく、将来的な歯の寿命にも関わる口腔機能の問題といえます。
すきっ歯の主な原因
1.歯のサイズが小さい
歯の幅や大きさが平均よりも小さいと、あごの骨に対して歯が「余って」しまい、歯列全体に隙間ができます。先天的に小さな歯が多い方に見られます。
2.先天性欠如(永久歯が生えてこない)
本来生えてくるはずの永久歯が一部欠如していると、その部分に空隙が生じます。レントゲン検査で本数を確認することが大切です。
3.歯周病による骨吸収
歯を支えるあごの骨(歯槽骨)が歯周病で痩せると、歯が少しずつ動き、歯と歯の間の隙間が広がるケースがあります。大人になってから急に隙間が気になり始めた場合は、このパターンも疑われます。
4.舌癖・指しゃぶりなどの悪習癖
日常的に舌で前歯を押す癖や、長期間の指しゃぶりは、前歯を少しずつ前方へ押し出し、隙間を広げる原因になります。
癖のコントロールをせずに見た目だけを整えると、再発のリスクが高くなります。
5.抜歯・事故などによる欠損
虫歯や外傷で歯を失った部分をそのままにしておくと、隣の歯が倒れてきて歯列全体のバランスが乱れ、すきっ歯のように見えることがあります。
POINT
後天的なすきっ歯は、「見た目を埋めるだけ」の処置では再発リスクが残ります。
原因診断をもとに、噛み合わせ・舌の位置・骨の状態まで考慮した治療計画が必要です。
関連記事:すきっ歯(空隙歯列)の原因とすきっ歯治療例を紹介します
すきっ歯を放置するとどうなる?
「見た目だけの問題だから……」とそのままにしておくと、次のようなリスクが生じます。
- 噛み合わせの不均衡により、顎関節症や筋肉の痛みを引き起こす
- 食べかすが溜まりやすく、虫歯・歯周病が進行しやすい
- 歯の位置がさらに動き、隙間が広がる・歯並び全体が乱れる
- 舌や唇の使い方が悪くなり、発音や表情にも影響する
放置期間が長くなるほど、治療が複雑化・長期化する傾向があります。
早めに原因を確認し、適切な治療を始めることが、美しい歯並びと歯の健康を守る鍵です。
すきっ歯の治し方5選【歯科医推奨】
すきっ歯の治療には、目的・治療期間・費用によってさまざまな選択肢があります。
ここでは、アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿で行っている主な5つの治療法をご紹介します。
1.マウスピース矯正(インビザライン)

透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かす方法です。
歯並び全体をコントロールできるため、すきっ歯の根本的治療としてもっとも推奨できる方法の一つです。
メリット
・目立ちにくく、装着していても気づかれにくい
・取り外し可能で、歯磨きやお食事がしやすい
・前歯だけの部分矯正にも応用可能
デメリット
・1日20時間以上の装着など、自己管理が必要
・装着時間を守らないと、予定通りに歯が動かず治療期間が延びることがある
2.ダイレクトボンディング法

コンポジットレジンという樹脂を歯の表面に盛り足して、すき間を埋める治療です。
1回の通院で完了することも多く、「すぐにすき間を埋めたい」方に向いています。
メリット
・多くの場合、即日(1日)で治療が完了
・歯を削る量が比較的少なく、費用もセラミックより抑えやすい
デメリット
・数年単位で変色や劣化が起こる場合がある
・強い力がかかると欠けることがある
3.ラミネートベニア法

前歯の表面を薄く削り、セラミック製の薄い板(ベニア)を貼り付ける方法です。
すき間だけでなく、歯の色や形も同時に整えたい方に向いています。
メリット
・自然で透明感のある仕上がりが期待できる
・ホワイトニングでは難しい色味の改善にも対応可能
デメリット
・歯の表面を削る必要がある
・保険適用外の自費治療となる
4.セラミッククラウン法

歯全体を覆うセラミックの被せ物で、形や色を理想的に整える治療です。
すき間の幅が広い方や、歯の形・向きの不揃いも同時に改善したい方に適しています。
メリット
・強度が高く、長期的な安定が期待できる
・色調・形態を細かくデザインでき、審美性が高い
デメリット
・歯を大きく削る必要がある
・神経の状態によっては、根管治療が必要になることもある
5.ワイヤー矯正
ブラケットとワイヤーを使って歯を少しずつ動かし、歯列全体を整える治療です。
ねじれや咬み合わせのずれが大きい場合など、マウスピース矯正だけでは難しい症例にも対応できるのが特徴です。
メリット
・幅広い症例に対応可能で、歯列全体のバランスを整えられる
・精密な歯の移動がしやすい
デメリット
・装置が目立ちやすい
・唇や舌に装置が当たることで違和感を感じる場合がある
アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿の治療方針
アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿では、「できるだけ歯を抜かない矯正治療」を大切にしています。歯を残すことは、将来の健康寿命を延ばすことにつながると考えているからです。
とくにマウスピース矯正(インビザライン)は症例実績が多く、短期間・目立たない治療を希望される方に選ばれています。
また、矯正治療に加えて審美歯科治療も行っているため、
- 自然で美しい口元のデザイン
- 顔全体のバランスを考えた治療計画
- 将来的な健康を見据えた噛み合わせの改善
といった視点から、トータルに治療をご提案しています。
症例紹介
ダイレクトボンディング法による治療例1
Before

After

| 治療期間 | 1日 |
|---|---|
| 治療費用 | 1歯¥33,000×2本 ¥66,000(税込) |
| 治療のリスク・副作用 | 取れたり欠けることがある/レジンの経年劣化により変色する場合がある |
ダイレクトボンディング法による治療例2

| 治療期間 | 1日 |
|---|---|
| 治療費用 | 1歯¥33,000×2本 ¥66,000(税込) |
| 治療のリスク・副作用 | 取れたり欠けることがある/レジンの経年劣化により変色する場合がある |
ラミネートベニアによる治療例

Before

After
| 治療期間 | 1ヶ月半 |
|---|---|
| 治療費用 | ¥585,200(税込)※ラミネートベニア¥143,000(税込)×4本と仮歯代を含む |
| 治療のリスク・副作用 | 歯を削る必要がある/歯ぎしりなど強い力がかかると取れることがある |
セラミッククラウン法による治療例

Before

After
| 治療期間 | 3ヶ月 |
|---|---|
| 治療費用 | ¥344,000(税込) ジルコニアセラミッククラウン2本¥143,000×2/ファイバーコア2本¥22,000×2/仮歯代を含む |
| 治療のリスク・副作用 | 歯を削る必要がある/ねじれが強い場合は歯の神経治療が必要になることがある |
ワイヤー矯正による治療例

Before

Before

After

After
| 治療期間 | 約7ヶ月 |
|---|---|
| 治療費用 | ¥308,000(税込) |
| 治療のリスク・副作用 | 装置が目立つ/後戻りのリスクがある |
マウスピース矯正による治療例1

Before

After
| 治療プラン | インビザライン コンプリヘンシブ上下 |
|---|---|
| 治療期間 | 17ヶ月 |
| 治療費用 | ¥990,000(税込)※治療費総額 保定装置は別途費用 |
| 治療のリスク・副作用 | 後戻りのリスクがある |
マウスピース矯正による治療例2
Before

After

| 治療プラン | インビザライン コンプリヘンシブ上下 |
|---|---|
| 治療期間 | 14ヶ月 |
| 治療費用 | ¥990,000(税込)※治療費総額 保定装置は別途費用 |
| 治療のリスク・副作用 | 後戻りのリスクがある |
マウスピース矯正による治療例3
Before

After

| 治療プラン | インビザライン go上下 |
|---|---|
| 治療期間 | 5ヶ月 |
| 治療費用 | ¥539,000(税込)※治療費総額 保定装置込み |
| 治療のリスク・副作用 | 後戻り |
治療後のメンテナンスと後戻り予防
すきっ歯の治療が終わったあとも、「リテーナー(保定装置)」で歯の位置を安定させることがとても重要です。
とくに矯正治療終了直後は、歯が元の位置に戻ろうとする力が強い時期です。
一般的には、矯正終了後1年間は1日10時間以上の保定装置の装着を推奨しています。2年目以降は就寝時のみの装着に移行し、継続して装着をしていきます。
マウスピース型の保定装置がつけられない方には、前歯の裏側にワイヤーを固定するタイプの保定もご提案しています。
また、舌で前歯を押す癖や歯ぎしりがある場合は、再発防止のための舌トレーニング・マウスピース指導も合わせて行います。
裏側保定用ワイヤー
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保定装置 ビベラリテーナー

よくある質問(FAQ)
Q.市販グッズなどで自力で治せますか?
A.すきっ歯が自然に治ることはほとんどありません。市販グッズや独自の方法で無理に力をかけると、噛み合わせの悪化や歯の動揺につながる恐れがあります。
関連記事:すきっ歯を自力で治す方法はある?正しい治し方を歯科医師が解説
Q.できるだけ短期間で治したいのですが?
A.前歯の軽度のすきっ歯であれば、ダイレクトボンディングやラミネートベニアなど、即日〜数回の通院で対応できるケースもあります。歯並び全体を整えたい場合は、マウスピース矯正やワイヤー矯正が適しています。
Q.抜歯せずに治せますか?
A.すきっ歯は「スペースが余っている」状態のことが多く、多くの症例で非抜歯矯正が可能です。当院でも歯をできるだけ残す治療方針を基本としています。
まとめ|すきっ歯の改善は「見た目+機能」の両立が大切
すきっ歯は、見た目のコンプレックスだけでなく、発音や噛み合わせ、将来的な歯の健康にも関わる大切な問題です。
原因やすき間の大きさによって、
- ダイレクトボンディングやラミネートベニアなどの審美治療
- マウスピース矯正・ワイヤー矯正による根本的な歯列改善
といった選択肢があります。
「どの方法が自分に合っているのか」は、お口全体の状態を拝見しないと判断が難しいため、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。
アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿では、無料矯正相談を実施しています。
「短期間で目立たずに治したい」「できれば歯を抜かずに整えたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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監修者
- アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿 小川 朗子(おがわ あきこ)
-
1996年 鶴見大学歯学部卒業
1997年〜2006年 都内開業医勤務
2004年〜南青山デンタルクリニック副院長
2006年 アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿開院
2007年 抗加齢医学会認定専門医取得
2015年 インビザライン認定医取得
2017年 高濃度ビタミンC点滴認定医取得
2018年 インディアナ州立大学歯学部 歯科矯正プログラム認定医取得
2018年 著書「若さを取り戻す歯のエイジングケア」出版 - 公式サイトトップへ

